6時間の非常戒厳令に揺れた韓国 ー 今だからこそ観たい韓国映画・ドラマ
こんにちは、テジです!
12月3日深夜に、韓国の尹錫悦大統領が非常戒厳(戒厳令)を布告し、国会によりわずか6時間ほどで解除されたニュースが記憶に新しいですが、日本人にとってこの事件が韓国に住む人々にとってどれだけのインパクトのあるものなのかというのはなかなかわかりづらいところ。
もちろん、日本のニュースなどでも、この事件の背景にある歴史などはたびたび紹介されていますが、今回はこの戒厳令の背後にある歴史についてより深く知ることができるいくつかの映画やドラマを紹介したいと思います。
そもそも非常戒厳とは?
非常戒厳は一般的に戒厳令といわれるもの。大統領が宣言することができ、行政や司法を軍が掌握し、国民の言論や集会の自由などの基本的人権を制限することができるものです。発令されるのは、基本的に、戦争時や、クーデターやテロのおそれがある時、大災害が起こった時など、文字通り国家の非常事態が想定されています。
なぜ今回の非常戒厳が問題になっているのか?
非常戒厳は、韓国の憲法(77条)によって規定されているものなので、大統領がそれを宣言すること自体には何の問題もないはず。それが今回、市民による大希望なデモ、そして大統領の弾劾訴追案の可決に至るまでの大問題に至ったのはなぜなのでしょうか?
そこにはもちろん多くの複雑な理由が絡み合っていますが、シンプルに言えば、大きく2つの理由があるのではないでしょうか?
第一に、そもそも戦争や大災害など目にみえる非常事態が何も起こっていない平時に戒厳令が突如として宣言されたこと。
宣言を行った当の本人である尹大統領は、国会で多数を占める野党の妨害により、政府が国会で法案を通せないなど、政府がレームダック化していることから、それを「国家機関を攪乱させ、内乱を企てる明白な反国家行為」「国会は犯罪者集団の巣窟」、「北朝鮮に従う反国家勢力を一挙に撲滅する」などとして、非常戒厳宣言を行っています。
これを本来戒厳令が想定しているところの非常事態と捉えるのは、ふつうの感覚からするとなかなか難しいですよね。
第二には、この非常戒厳が韓国に住む人々にとって、とても大きな意味を持つものだからです。
戒厳令は韓国において、1948年に大韓民国が成立して以降度々出されていますが、1979年の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領暗殺後、1980年に全国に非常戒厳令が布告されて以来、一度も布告されてきませんでした。
そして、この前回の非常戒厳令の直後に起こったのが、光州事件という韓国の近現代史の中でも特に重要かつ悲惨な出来事でした。

光州事件という悲惨な歴史を思い起こさせる非常戒厳令が、民主化から40年近くたったこの現代で宣言されたというのは、やはり韓国国民にとってとてもインパクトのあるもので、だからこそ大きな問題となったと言えるでしょう。
それゆえ、光州事件、そしてその前後の事件を扱った映画やドラマを観ることは、今回のこの韓国での非常戒厳宣言という出来事への理解の深まりにつながってくるのです。
今だからこそ観たい韓国映画・ドラマ
タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜 (映画)

『タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜』は、光州事件を世界に伝えたドイツ人記者と、彼を事件の現場まで送り届けたタクシー運転手の実話をベースに描いた作品です。
光州事件という悲惨な事件の緊迫感と残酷な現実を描きつつも、映画としてのエンターテイメント性がしっかりしているため、重苦しさだけが強調されることなく、光州事件を知る入り口としておすすめの作品です。
五月の青春 (ドラマ)

『五月の青春』も、光州事件を題材にした作品の1つ。
1980年の光州を舞台に、大学生の主人公ヒテと看護師のミョンヒのラブストーリーを軸に、光州事件、そしてこの激動の時代に翻弄される若者の姿を描いた作品です。
前述の『タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜』では、映画という短い尺ということもあり、あくまで光州事件のまさにその当日をメインに描いていますが、『五月の青春』では光州事件が起こる前のまだ比較的平和な日常から、光州事件以後までをドラマという長い尺で描いています。
また、ただただ光州に住んでいただけの市民がどう光州事件に巻き込まれていったのかという部分においても、映像を通して理解を深めることができる作品だと思います。
ソウルの春 (映画)

『ソウルの春』は、光州事件にて民主化運動を武力で鎮圧した全斗煥(後の大統領)が、光州事件の前年1979年の12月12日に起こした軍事クーデターを描いた作品です。
この軍事クーデターは、光州事件を起こしたまさに張本人である全斗煥が、どのように光州事件の前年に国の実権を握ることとなったのかがわかる重要な出来事で、『ソウルの春』はそれをとてつもなく大きなスケールで描いています。
2023年の韓国の観客動員数でNo.1となった映画で、国民の4人に1人が観たと言われているぐらいの大人気作ということで、私も昨年映画館で観ましたが、勉強になる以前に、エンターテイメント作品として純粋に完成度の高い作品なので、韓国の近現代史にあまり興味がないという方にもぜひおすすめです。
KCIA 南山の部長たち (映画)

『KCIA 南山の部長たち』は、1979年に韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が中央情報部部長キム・ジェギュに暗殺された実話を基にした作品です。
前述の作品との関連で言えば、1963年から1979年の16年間に渡り大統領として独裁政治を行った朴正煕が暗殺され、それを気に全斗煥が軍事クーデターを起こし次の独裁者となり、光州事件に至るという経緯があります。その意味で、朴正煕暗殺の内幕を垣間見ることのできる『KCIA 南山の部長たち』も必見の映画です。

ちなみに、どの作品から観てももちろん問題はないですが、個人的には、『KCIA 南山の部長たち』→『ソウルの春』→『タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜』or 『五月の青春』と観ると史実の時系列順となるので、一連の流れがより理解できてオススメです!
さいごに
いかがでしたでしょうか?
韓国映画やドラマでは、社会問題や史実がエンターテイメントとして見事に昇華されているものが多いので、こういった作品を通して、韓国の近現代史の理解を深められるのはありがたいですね!


