韓国ケーブルドラマの王者tvNについて調べてみた
『愛の不時着』『涙の女王』『トッケビ』『応答せよ1988』
これらの作品に共通するのは、すべてケーブルテレビ局「tvN」が放送したドラマであるということ。
きっと皆さんも「すごい」とか「おもしろい」と思った多くの近年の韓国ドラマがtvNであるかもしれません。
かつては「地上波こそ韓国ドラマの主役」という常識があったなか、2010年代後半以降、KBS・MBC・SBSという「御三家」を次々と視聴率で抑え、今や韓国ドラマ界の頂点に君臨する存在となったtvN。
わたくしテジも、tvNに感謝しっぱなしの人生になっています。
今回は、そんなtvNの魅力を語るべく、tvNについて調べてみました。
tvNとCJ ENMの歴史
CJグループのメディア参入
tvNを語るには、その親会社であるCJグループの歴史を知る必要があります。CJグループの起源は1953年に設立された砂糖製造会社。メディア事業への転機となったのは1995年、アメリカの映画スタジオ「ドリームワークス」への投資と、韓国・アジア地域での配給権取得です。この決断が、CJをエンターテイメント企業へと変貌させる起点となりました。
2011年、CJはメディア・エンターテイメント部門を統合し「CJ E&M(シージェーイーアンドエム)」を正式設立します。これはCJメディア、OnMedia、Mnet Media、CJエンターテイメントなど7社が統合された大型再編で、その傘下にtvNやMnet、OCNなどの複数チャンネルが入りました。さらに2018年、CJ E&MとCJO Shoppingが合併して現在の「CJ ENM」が誕生。現在では全世界にコンテンツを輸出する大エンターテイメント企業へと成長しています。
tvNの開局(2006年)
tvNは「Total Variety Network」の略称で、2006年10月9日に開局し、ドラマ・バラエティを中心とした番組を放送するケーブル・有料放送チャンネルしていました。
開局当初のtvNは、小規模なケーブルテレビ局で、主にバラエティ番組を中心に放送しており、ドラマ制作においても地上波の3局に大きく水をあけられていたようです。この苦しい時代が、2011年に起こる歴史的な人材の大移動によって終わりを告げることとなります。
転換点 (2011年)
地上波から優秀な才能が流入
2011年は、韓国メディア史に刻まれるべき年となりました。それはなぜか?KBS・MBSなどの大手地上波放送局から、優秀なPD(プロデューサー兼ディレクター)や脚本家が一斉にCJ E&M/tvNへ移籍したのです。
たとえば、
- イ・ミョンハン(KBS出身):tvNの総括プロデューサーとして後の黄金時代を統括。KBS時代から「応答せよ」シリーズの脚本家イ・ウジョン、シン・ウォンホ監督らとのチームを率い、「汝矣島研究所(여의도연구소)」という異名で知られていた。
- ナ・ヨンソク(KBS『1泊2日』プロデューサー):2013年にtvNへ移籍し、旅行バラエティ『花よりおじいさん』を制作。初回視聴率4.15%という記録的な数字を叩き出し、後にアメリカNBCにフォーマットが売却されるほどの国際的大ヒット番組となった。
- シン・ウォンホ(KBS出身):2011年に移籍後、「応答せよ」シリーズ全作を演出。後に『賢い監房生活』『賢い医師生活』も手がける。
- キム・ウォンソク(KBS出身):2011年移籍後、『未生』『シグナル』『マイ・ディア・ミスター』などtvNを代表する名作を次々と生み出した。
当時、地上波放送局では組織の硬直化や制作の慣習が足かせとなっていて、一方のtvNは新興チャンネルであるが故に制約が少なく、クリエイターに大きな自由度を与えることができた。それが、これらの有名PDや脚本家の大流出に繋がったと言われています。
ドラマ制作黄金時代(2012〜2016年)
「応答せよ」シリーズの奇跡
2012年にスタートした『応答せよ1997』は、1990年代のK-POPアイドル文化と青春を描いた作賓で、最高視聴率5.1%を記録。続く2013年の『応答せよ1994』が10.4%、そして2015年の『応答せよ1988』が最高視聴率18.8%という驚異的な数字を叩き出します。
シン・ウォンホ監督と脚本家イ・ウジョンのコンビは、知名度は低いが実力ある俳優を積極的に起用し、地上波では敬遠されがちな斬新な手法で視聴者を魅了しました。「シリーズものはヒットしない」という業界のジンクスを覆し、応答せよシリーズはtvNを一躍スターチャンネルへと押し上げたのです。
そう、何を隠そう、私テジも応答せよシリーズの大ファン(とくに『応答せよ1988』)です。

新ジャンルへの挑戦 ―『未生』が変えたもの
2014年の『未生』は、人気ウェブトゥーンを原作に、サラリーマンの日常をリアルに描いた作品。恋愛要素がほぼゼロという韓国ドラマとしては異例の構成で、当時の韓国ドラマの固定観念を根底から覆しました。
拒否された企画がtvNに来る
さらに、2016年の犯罪スリラー『シグナル』のエピソードが本当に興味深いのです。
過去と現在の刑事が未解決事件を共同捜査するというユニークなこの『シグナル』の脚本は、まずKBSとSBSに持ち込まれましたが、「視聴者に受けない」と判断されます。最終的にtvNが採用し、最高視聴率9.7%の大ヒットを記録。安定的な視聴率を狙う地上波が避けた企画こそ、tvNのチャンスという構図が明確に示された象徴的な出来事でした。
スタジオドラゴンの設立とドラマスタジオシステム
2016年 ― ドラマ専門会社の誕生
tvNのドラマ制作がさらなる飛躍を遂げた要因の一つが、2016年に設立されたスタジオドラゴンの存在です。CJ E&Mのドラマ制作部門を分社化したこの会社は、韓国初の「ドラマ専門スタジオモデル」を確立し、翌2017年にはKOSDAQへの上場を果たします。
スタジオドラゴンは単にドラマを制作するだけでなく、版権管理・マーケティング・配信の全工程を一元管理する垂直統合型のビジネスモデルを採用し、これにより、作品ごとに制作会社が異なる旧来の体制に比べ、品質の安定化が可能になりました。
量と質を両立する体制
スタジオドラゴンの生産規模は圧倒的で、多様なジャンルの作品を安定的に供給し続ける体制を確立できたことが、tvNを「ハズレが少ないチャンネル」として視聴者に認識させる基盤となっています。

うん、まさに「スタジオドラゴン、tvNだったらまず観てみよう」という安心感は頷ける!

Netflixとのパートナーシップとグローバル展開
2016年にNetflixが韓国サービスを開始したことは、tvNとスタジオドラゴンにとって決定的な追い風となりました。2020年からは、スタジオドラゴンとNetflixの戦略的パートナーシップが締結され、『愛の不時着』や『サイコだけど大丈夫』などの多くのtvNドラマがNetflixを通じて世界190か国以上に届けられるようになりました。
自分も2020年から韓国ドラマを観るようになったので、まさにその節目、ラッキーな時期に韓国ドラマにハマり始めたと言えると思います。
2025〜2026年の最新動向
相次ぐヒット作
2025〜2026年にかけても、『暴君のシェフ』、『未知のソウル』、『いつかは賢いレジデント生活』、『missホンは潜入調査中』など多ジャンルでコンスタントに高視聴率作品を生み出し、「ドラマを追うならtvNを押さえておけば間違いない」という空気感をさらに強めているような気がします。
TVINGを通じたグローバル展開
また、tvNの親会社CJ ENMは、傘下のOTTプラットフォーム「TVING(ティービング)」を通じて海外展開もさらに加速させています。2025年11月、TVINGは日本のDisney+内に専用ハブ「TVING Collection」を開設。これはDisney+がアジア太平洋地域で初めて専用ブランドハブを設けた事例です。2026年1月にはCJ ENMがTVINGの日本・アジア太平洋地域向け韓国ドラマラインナップを大幅拡充するとも発表しています。
課題:制作費高騰と次のヒット作への模索
一方で近年の作賓の制作費の高騰や、Netflixへの依存度の高さが業界の構造的なリスクとして意識されているとも言われています。高い制作費を回収できるような大ヒット作を継続的に生み出すのは本当に難しいと思いますが、個人的にはtvN・スタジオドラゴンには引き続き大きな期待を寄せています。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
tvNを聞いたことがないという人も、ここ数年で韓国ドラマにハマった人はきっと知らず知らずのうちにtvN様様状態になっているのではないでしょうか?
これを機に、次の人生ドラマを探すべく、「次にtvNで何が始まるかな」という視点でドラマ選びをしてみるのも良いのかもしれません。
ではでは、アンニョン👋

