韓国ドラマあれこれ

光州事件を題材にした作品を観る前に知っておきたいこと

tejilog

こんにちは、テジです。

韓国ドラマや映画をよく観るようになってくると、意識せずとも韓国の現代史に触れる機会が多くなります。

韓国作品は、まさに歴史モノというような作品だけでなく、現代史の事件やイベントを随所随所でうまくストーリーに組み入れているようなものもたくさんあって、そういった意味で歴史をエンタメとして昇華しながら、歴史への関心を深めさせてくれるのが本当にうまいなと思います。

そんな韓国の現代史の中でもとりわけ重要な出来事として、光州事件があり、『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(映画)や『五月の青春』(ドラマ)など、それを題材にしたいくつかの作品があります。

私も光州事件を題材にした作品はいくつか観たことがあるのですが、予備知識がないばかりに、随所随所で混乱してしまうことが多々ありました。

今回は、「光州事件を題材にした作品をこれから観る」という方、もしくは「観たけどちょっとよくわからなかった」という方のために、ちょっとした予備知識になるような内容をお届けできたらなと思います。

そもそも光州事件とは?

光州事件とは、1980年5月18日から27日にかけて、韓国の南部、全羅南道の道庁所在地だった光州市にて、当時の軍事政権に抗議した学生・市民と政権側とで起こった衝突のことで、軍による全面的な弾圧によって一般市民に多数の犠牲者を出した悲惨な事件です。

私もこの程度の予備知識で『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』や『五月の青春』などを観たのですが、そもそも光州事件の前史を知らなかったので、「何でこんな悲惨な事件が急に光州で起きるのか」という疑問が生まれながらも、作品を観進めるはめになってしまったのです。

そこで簡単に光州事件の前史をまとめてみました。

  1. 1979年10月、1963年から長期で大統領に君臨し、韓国に高度経済成長をもたらしながらも独裁政権を敷いてきた朴正煕(パク・チョンヒ)が暗殺される。
  2. 朴正煕暗殺を機に、ソウルを中心に民主化ムードが高まる(俗に言う、ソウルの春
  3. 朴正煕の後ろ楯があった全斗煥を中心とした軍部勢力のハナフェが軍事クーデターを起こす。
  4. 18年にも及んだ朴独裁政権が終わり、やっと韓国にも民主化が訪れるという民衆の期待が高かったために、軍事クーデターへの反発は激しく、全国各地で学生や労働者を中心とするデモが拡大する。
  5. デモ拡大を防ぐために、5月17日に、全率いる新軍部が集会の禁止、報道の事前検閲、大学の休講などの戒厳令を韓国全土に発令する。

このような流れの中で、光州の全南大学でも他の大学と同様に学生と戒厳軍が衝突し、それが最後には一般市民を巻き込む悲惨な事件にまで発展することとなってしまったのが光州事件なのです。

光州事件を描いた作品は、その事件自体のインパクトの強さにただただ見入ってしまうのですが、「誰が何を目的にデモを起こし、誰がそれを弾圧しているのか」、そして、「事件はどんな流れで起きたのか」という事前知識が少しでもあるとより理解が深まり、作品にも入り込みやすくなってくると思います。

なぜ光州なのか?

光州事件が起こるまでの流れは何となくわかっても、そこで出てくるもう一つ大きな疑問は、韓国全土でデモが起こっていたのに、なぜ光州でだけこのような大規模かつ悲惨な事件が起きてしまったのかということです。

そこには、朴正煕独裁政権時代に作られた全羅道(光州を含む地域)への強い地域差別があったようです。

というのも、長期で政権を握っていた朴正煕には、70年代にライバルとなる政治家(後に大統領となる)金大中(キム・デジュン)がいました。金大中は打倒独裁のシンボルとして人気があったため、朴は金をアカ(共産主義者・社会主義者のことを指す)に仕立て上げ、金の出身地であった全羅道に住む人々もアカだという誤った認識を国中に広めていったのです。それが、全羅道出身者への差別を助長していき、朴の後に軍事クーデターで権力を握った全斗煥も、それを利用し、光州でのデモを”北朝鮮に駆り立てられたアカの反乱“とラベリングすることで、それを封じ込める強いリーダーとしてのイメージ作りを試みたのです。

実際に、その当時多くの国民が光州事件をそのように認識し、軍による悲惨な弾圧事件であったのを知ったのは、90年代に入り軍事政権が終わり事件の全容が少しずつ明らかになってきてからだったのです。

さいごに

今回は、韓国の現代史の中でも極めて重要な光州事件について、取り上げてみました。

韓国ドラマや映画を観ることで、様々な意味で接点も多い隣国の歴史を知ることができるのは素晴らしいことですよね。

8月下旬には、韓国で昨年大ヒットした映画『ソウルの春』が日本で公開されます。『ソウルの春』は、まさに朴正煕暗殺から光州事件の間を描く作品ですので、この70〜80年代の韓国の激動の歴史の知識を深めるためにもぜひトライしてみては?

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テジ
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ブログ管理人
日本にいながら米IT企業でフルリモートで働く平成男子。2020年に『愛の不時着』から韓ドラ沼に陥る。韓国ドラマ9割と雑記1割のブログ「テジログ」では、韓国ドラマがつい観たくなってしまうようなコンテンツをお届けできたらなと思っています。
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